案内文章

高度成長期に突入した1960年代は、地方私鉄の廃線が次々と続いた10年間であった
「終焉の地方私鉄」を全国に追い求め、
空腹と闘った旅で撮り溜めたネガ。
そんなネガを掘り起し、地方私鉄の1960年代
回想してみました。

2023年8月10日木曜日

那須おろしの冷たい風 東野鉄道

 黒羽から代行バスで大田原へ戻る途中、車窓に見えた那須連山を望む運休区間が素晴らしい風景であった。この日検査を終えた元津軽鉄道のDC機関車が試運転でここを走ると聞き暫く待機していたがDC機関車はやって来なかった。
台風で破壊された蛇尾川の橋梁は大田原駅のすぐ近くにあり懸命な復旧工事が真っ盛り。大田原で客数人を乗せた区間運転のキハ501を撮りながら西那須野に戻ると日がすっかり落ちていた。44年後の2010年12月に黒羽近くの廃線跡を訪ねると、那須連山から吹く冷たい風と風景はあの時のままであった。

撮影:1966.12.30
検査上がりで出てきた元津軽鉄道のDC202。黒羽 


運休区間にあった中田原駅。

西那須野~大田原間を一日6往復するキハ501。

影が長くなって日が暮れ始めた頃。西那須野近く


茶臼岳から連なる那須の山並みを背景に大田原へ向かう廃線跡。白旗城址前停留場はこの辺り。2010.12.8

黒羽へ向かう廃線跡。  
廃線跡(道路)の先を右へカーブすると元黒羽駅に到着する。黒羽の町には那珂川が流れ、対岸に那珂川沿いに八溝山へ連なる山並みが続く。2010.12.8

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以上はTMS933号に掲載した「地方私鉄 失われた情景」第4回の後編で現在発刊の準備中です。前編はこんな↓でした。

1966(昭41)年の12月、東北本線西那須野から出ていた東野鉄道を訪問すると、台風で破壊された蛇尾川鉄橋の復旧工事中で大田原から終点黒羽まで運転休止中であった。代行バスに乗って黒羽駅に到着すると駅はひと気がなく静まり返っていた。
那須の山並みから吹いてくる12月の冷たい風、青空の白い雲、日が傾き始めた午後の日差しがさす構内には元2軸ガソリンカーの客車、津軽鉄道からやってきた奇妙なDC機関車、元国鉄気動車などが点在し、けだるい眠くなるような黒羽駅であった。正月明けには復旧して元の黒羽駅に戻ったようだ。



2 件のコメント:

Cedar さんのコメント...

御本の発売を心待ちにしております。

katsu さんのコメント...

Cedarさん
ありがとうございます。
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