私が好きな国鉄蒸機の写真は今になってみると走行中の定番写真よりも駅や機関庫で撮られた情景写真です。しかし、当時は駅で撮るなんてナンセンス、一刻も早く良い撮影ポイントを求めて歩き回るのが当たり前だったと思います。駅(ホーム)で撮った乗客排除した蒸機全身は誰が撮っても、どこで撮ってもみな同じ、駅撮り写真は単に車両写真に過ぎないと当時私もそう思い込んでいました。
ところが駅撮り写真でも視点を変えてみれば本橋成一プロの「上野駅の幕間」(1979年~)のように無限の題材が当時の駅にあったのですね。堀越さんは1960年後半にはこのことを意識し始めたそうです。
国鉄の駅や機関区を訪問した時、私ももしこれに気付いていれば、あの時撮った国鉄蒸機の写真は無駄にならず宝物になったことでしょう。
「国鉄時代」に記事連載中の堀越さんや榊原さんと先日の鉄談義でこんな話題になりました。私は国鉄蒸機の写真の魅力は駅の情景にありと思っていますが、好みや楽しみ方は人さまざまですね。
直方駅は伊田線、宮田線の乗り換えもあり、4番線まであるホームのどれかにはいつも乗客がいる活気ある構内だった。しばし休息するC55のスポーク動輪に朝日が射す。1971.11 直方
撮影:堀越庸夫 「国鉄時代」vol.43より
堀越庸夫さんのホームページ
2 件のコメント:
車両もさる事ながら、時代ごとの駅の風情が伝わってくる写真が大好きです。
件の写真は、国鉄時代11月号で早速見ていましたが、ホームで列車を待つ人達の服装に時代が感じられますね。
あと、バックのC55、いかにも煤けていて、その時代の現役感が伝わってきます。
現代のイベント用に磨き上げられた蒸機にはない、風格のようなものを感じます。
esehokuさん
駅のホームで列車を待つ人々の服装などはとてもよく時代を映しますね自動車もしかりです。
この50年間の時代の変化が大きかったせいでよけい感じるのかも知れません。
この先50年後に今の時代を写真で見たら一体どんな感じになるのでしょうか。
乗客が皆スマホを見ている今の風景写真に噴き出してしまうかも知れません。
写真はそんな時代の空気を感じる面白さがありますね。
現役時代の蒸機は煤けた感じと動力機構の磨き込まれた機械美が堪らない魅力でした。
真っ黒に塗られた蒸機にはこの感じがないのはその通りと思います。
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