案内文章

高度成長期に突入した1960年代は、地方私鉄の廃線が次々と続いた10年間であった
「終焉の地方私鉄」を全国に追い求め、
空腹と闘った旅で撮り溜めたネガ。
そんなネガを掘り起し、地方私鉄の1960年代
回想してみました。

2026年2月19日木曜日

泗水(しすい)の朝

熊本電鉄 1967年春
あの朝、ホームに犬がいても誰も驚かなかった。菊池からの上り電車が到着し、小学生の一団が改札へ向かう。犬は動かない。ただ、線路の向こうを見ている。

やがて下り電車が到着し、降りてきた男の足もとへ犬は迷いなく寄り添った。声もなく、尾を振るだけで迎えは済んだ。

改札の駅員も、運転士も、乗客もそれを特別な事にはしなかった。危ないと叱る者もいなければ、規則を持ち出す者もいない。私も何も感じなかった。それが当たり前の時代だった。
今になって思うのは、あの当たり前はもう戻らない。


菊池初の上り藤崎宮前行が到着するとホームに犬が一匹。

小学生の一団が改札へ向かうとまだホームにいる犬。


やがて客車を牽いた下り菊池行が到着し電車は交換する。


電車を降りてきた乗客に寄りそう犬。


電車が去り静まり返った駅に美しい文字「しすい」


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