案内文章

高度成長期に突入した1960年代は、地方私鉄の廃線が次々と続いた10年間であった
「終焉の地方私鉄」を全国に追い求め、
空腹と闘った旅で撮り溜めたネガ。
そんなネガを掘り起し、地方私鉄の1960年代
回想してみました。

2018年1月22日月曜日

屈足営林署

大学鉄研の先輩竹下氏の写真から。
昭和35年頃に撮影したと思われる屈足営林署。

北海道の簡易軌道、森林鉄道の大家にお聞きしたところ、屈足にある屈足営林署の土場から十勝上川森林鉄道が運行されていたそうで、十勝上川森林鉄道(1950年~1966年)は林野庁帯広営林局新得営林署管内の上川郡新得町で運行されていた。

1961年発行 小熊米雄著「日本における森林鉄道用蒸機機関車について」より
H:十勝上川森林鉄道  新得から出ていた北海道拓殖鉄道の沿線に屈足がある。
B:置戸森林鉄道
D:トマム及び陸別森林鉄道
E:ムリイ及び上丸瀬布森林鉄道
G:層雲峡森林鉄道

 ハフ119+ハ2 屈足

 ハフ118 屈足

ハフ3 屈足

12 件のコメント:

esehoku さんのコメント...

これは初めて知りました。
屈足→何と読むのでしょうか?
ハフとハの凸凹ぶりが凄いですね。一瞬、ネムタクの銀嶺号を思い出しましたが、こちらは2輌の客車の連結だったので安心?しました。
いかにも手作り寄せ集めという風情がたまりません。
北海道、営林署と来て、頭に思わず伊福部昭の音楽が流れてきました。

katsu さんのコメント...

esehokuさん
屈足は「くったり」です。
簡易軌道や森林鉄道には奇想天外な車両がいろいろ居ますね。

置き猫 さんのコメント...

ハフ118・119は木曽森林鉄道のC型客車とそっくり。台枠や連結器周りに差異はありますが、見比べるとほぼ同一形態のようです。

katsu さんのコメント...

置き猫さん
確かに木曾森林の客車とそっくりですね。
営林署の人員輸送車で定番かもしれません。

なと。 さんのコメント...

ハ2の全幅と全長の差があまりにも無く、模型ならば未だしも実物にこんなことがあるなんて!・・・奥深いものを感じました。

katsu さんのコメント...

なとさん

発展途上の日本にはこんなものがあった、私もそう思います。
中国には今でも炭鉱や専用線に桁違いのオドロキの車両がありますね。
発展して洗練してしまうと奥深いものが消えてしまうのでしょうね。

狂電関人 さんのコメント...

katsuさま

涙が出そうです!
こんなひ弱な線路があちこち蔓延り、
パラダイスワールドですね。
できれば、丸瀬布みたいに北海道のどこぞの遊休地に
ガタゴトと復活して欲しいものです。
できれば群馬県根利にあるBW(旧北見営林署所属?)が
北の大地に里帰りして有火になるとかいった妄想の夢を・・・嗚呼。

katsu さんのコメント...

狂電関人さん
喜んでもらえると嬉しいです。
ひ弱な線路、私は車両よりも線路に萌えてしまいます。
3枚目の写真ハフ3でレールは6kgではないでしょうか。
明日、1/45の6kgレールスパイクを再度確認してきます。

西宮後 さんのコメント...

十勝上川森林鉄道の機関車のことを調べていたところ絶妙なタイミングで凄い画像を見せていただきました。
ハフ3は丸妻で何だか電車のようなスタイルでどこかの私鉄にいても違和感がないデザインですね。
森林鉄道なのに車番に「ハフ」が入ったり、検査標記があるのも本格的です。

こちらで調べたところではディーゼル機関車はこれまた林鉄では珍しい大型のC形ロッド機が主力で頸城鉄道DC92をL形にしたような姿。これらの客車を牽いてると傍目には軽便私鉄のようですね。
DLの付番方法も「D102」のようにDが入って本格的です。
10t機はD100番台、5t機D500番台、7t機D700番台と自重由来の車番でした。

なお管轄営林署名は屈足営林署でなく正しくは新得営林署ですので念のため書き添えておきます。
貴重な画像拝見させて頂きありがとうございました。

katsu さんのコメント...

西宮後さん
頚城には十勝鉄道からやってきたL形のDC123がいました。
十勝上川森林鉄道のL形はこれに近いのではないでしょうか。

屈足営林署としたのは、写真の裏書と車体に表示された営林署の文字が
新得ではなく屈足と読めたためです。
私はよく分かりませんが何か経緯があるのではないでしょうか。

西宮後 さんのコメント...

ハフ3の文字・・・かすれてますが確かに1字目が「屈」に見えますね~。
この辺の営林署の元締めである帯広営林局の古いパンフや小熊米雄先生の論文「北海道における森林鉄道用ジーゼル機関車について」では新得営林署管轄になってました。
この論文は北海道大学のサイトで公開されてるのでリンクを置いておきます。
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/20782/1/20(1)_P361-392.pdf
当時は公文書でも役所名がまちまちなことがありあまり細かいことを気にしても仕方ないかも知れませんね。

十勝上川林鉄の10t機は十勝鉄道DC123の2年後、昭和30年から昭和33年にかけてD102~104の3台が入ってます。
日立製の十勝鉄道機に対して協三工業が製造したため同メーカー製の頸城DC92の風味が入ったようです。
営林署の担当者も近所に入った新型DLの写真や仕様書をメーカーに見せて「こんな感じで~」と注文したのではないかなと想像します。
協三工業ではこの機関車を森林鉄道向け標準機として普及させようと林業機械の見本市にも出品したようですが折悪しく林野庁の方針が林鉄から道路林道主体に変わったためこのモデルが増備されることはなかったようです。

katsu さんのコメント...

西宮後さん
小熊先生の貴重な論文の紹介ありがとうございました。興味深い内容ですね。
これと同じ頃、小熊先生が出された森林鉄道の蒸気機関車(北海道主体)では、
帯広営林局管轄の十勝上川森林鉄道は出ていますが営林署名までは出ていませんでした。

十勝鉄道のDLと十勝上川森林鉄道のDLはそんな関係であったのですか。
頚城鉄道でDC123(日立製)を見た時は、まるで頚城の軽便には似合わない重量級のイメージがしたものです。