案内文章

高度成長期に突入した1960年代は、地方私鉄の廃線が次々と続いた10年間であった
「終焉の地方私鉄」を全国に追い求め、
空腹と闘った旅で撮り溜めたネガ。
そんなネガを掘り起し、地方私鉄の1960年代
回想してみました。

2020年9月2日水曜日

淡路交通 ガソリンカーを改造した電車

 淡路交通(1966.10.1廃止)のカルダンドライブ車はこれまでに何回かアップしてきました。
淡路に4両いたカルダンドライブ車について画像を更新し改めて整理してみます。

自社ガソリンカーのキハニを改造してエンジンに代えモータを床下に吊り下げ、ガソリンカーのプロペラシャフトを使った直角カルダン駆動だったモハ2006~2009 4両は、まるで模型の駆動方式みたいな電車であった。その後 改造遍歴があり、1両ごとに外観や駆動方式が変化に富んだ興味深い電車であった。

モハ2006 直角カルダン エンジンをモータに交換し元々あったプロペラシャフトで駆動。
モハ2007 直角カルダン 上と同様
モハ2008 垂直カルダン 上と同様に改造後ある時期に試験的に垂直カルダンを組込んだ。
モハ2009 直角カルダン 写真の1965年時点では電動機は外してあったようだ。

過去の記事:淡路交通 垂直カルダンドライブ車

撮影:1965.8.2
モハ2006。プロペラシャフトドライブをやめて、普通の釣り掛け式駆動のブリル台車に履き替えた。側面はキハニ当時の3扉のままで角ばったスタイルは、他の3両とは全くイメージが異なる。

モハ2007。 2台の強力モータを床下にぶら下げて気動車用菱枠型台車に
プロペラシャフトで駆動する直角カルダン車。この日は準急で活躍していた。
早朝の準急モハ2007  洲本


右のモータから車輪を駆動するプロペラシャフトが見える


床下のモーターとプロペラシャフト。

モハ2008。  丸みを帯びた正面と側面2扉は2007と同様な外観。
この1台のみ
は垂直カルダン駆動方式を組込んだ試験車。


直角でも平行でもない、垂直カルダン駆動とは興味深い構造だ。
写真で見ると電動機は1台車1個。翌年に営業運転している写真があるので最後まで電動機は外していなかった。


モハ2009。 側面の扉を1つ埋めて2扉車に。他の3両に較べ全長が短く外観も異なる。
この末期時代には動力は使われてなくクハとして使われていた。

モハ2008に組込まれた神鋼電機(現シンフォニアテクノロジー)製の垂直カルダン駆動装置。

図は三重交通志摩線 5401号のもの
この解説図は同志社大学鉄研OB会「デジタル青信号」に掲載されたもので、投稿者の沖中様に借用許可をいただきました。原本は図の様式から神鋼電機のサービスマニアルと思われます。

6 件のコメント:

モハメイドペーパー さんのコメント...

 垂直カルダンは未知の部分が多くて興味深いです。駆動軸が垂直だから自在継ぎ手は上下方向の変位だけを吸収すればよいようですが、その上のギアが可撓歯車とあるので、ここで前後方向の変位(遊び)を吸収するのでしょうか。

Cedar さんのコメント...

垂直カルダンの図解、初めて拝見しました。運輸省の補助金受けていたとか、地方私鉄なのにいろいろチャレンジしていたのですね。

katsu さんのコメント...

モハメイドペーパーさん
駆動軸の上下の変位は7と6のスプライン軸で逃がし、
前後方向の僅かな遊びは8の自在継手で逃がしています。
4の可撓歯車の可撓の目的はよく分かりません。
三岐鉄道北勢線の連接車(現トレーラ)車内に、垂直カルダン点検ブタの残骸(盛上り)が見れると楽しいのですが。

katsu さんのコメント...

Cedarさん
神鋼電機の垂直カルダンドライブの実用テストとして淡路交通が手ごろだった、
そして淡路交通がテストに協力的で良い関係にあったのではないでしょうか。
カルダンドライブユニットを鳥羽工場から洲本まで海上輸送したのではないでしょうか。

esehoku さんのコメント...

過去の記事も見ましたが、結構あったんですね、半ば強引に?気動車を電車に改造した例が。
垂直カルダン…以前にもコメントされている方がいましたが、どんな走行音だったのかと興味が尽きません。
模型化するとしたら、HOくらいのスケールだと実走は難しいでしょうか…?
大きなスケールで、実走しなくても良いので再現してみたいものですね。

katsu さんのコメント...

esehokuさん
垂直カルダンの音はそれほど変わらないと思いますが、でも聴いてみたいですね。
カルダン黎明期に作られたこの垂直カルダン、原始的で愉快な構造です。
模型で再現したら面白そうですね。
今の模型界のレベルだと小型モーターや精密ギヤなど組合わせて1/80スケールで可能ではないかと思います。