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高度成長期に突入した1960年代は、地方私鉄の廃線が次々と続いた10年間であった
「終焉の地方私鉄」を全国に追い求め、
空腹と闘った旅で撮り溜めたネガ。
そんなネガを掘り起し、地方私鉄の1960年代
回想してみました。

2015年3月18日水曜日

栃尾線の垂直カルダンドライブ車

鳥羽の神鋼電機で開発された垂直カルダンドライブが越後の軽便 越後交通栃尾線に採用されたことは前回紹介した通りです。

昭和32~41年にかけて東洋工機で新造されたモハ211~217の6両は軽便サイズながら近代的スタイルが魅力で、特にブドウ色からツートンカラー(西武カラー)になった総括制御編成の時代が華だったでしょう。ところがその直後に廃線を迎え解体全滅してしまい誠に不運な電車でした。

この東洋工機製新造6両の中に4両の垂直カルダン車が含まれていたのは下記の通りです。

モハ212 昭和32年 東洋工機製 垂直カルダン 電動機1ヶ/1台車 廃線まで活躍
モハ213 昭和36年 東洋工機製 垂直カルダン 電動機1ヶ/1台車 昭和48年廃車
モハ214 昭和36年 東洋工機製 垂直カルダン 電動機1ヶ/1台車 昭和48年廃車
モハ215 昭和39年 東洋工機製 垂直カルダン 電動機1ヶ/1台車 廃線まで活躍

モハ216 昭和39年 東洋工機製 吊り掛け式  電動機2ヶ/1台車 廃線まで活躍
モハ217 昭和41年 東洋工機製 吊り掛け式  電動機2ヶ/1台車 廃線まで活躍

ちなみに大きさを比較してみるとモハ215はこんなに可愛い.

旧型客車牽引時代の垂直カルダンドライブ車 モハ213. 1964.03.22
1973年に廃車

旧型客車牽引時代の垂直カルダンドライブ車 モハ214. 964.03.22
1973年に廃車


廃線間近のモハ205+モハ212+モハ215の編成. 1975.03.08
垂直カルダンドライブは212と215だが215は電装解除?された.

4両の垂直カルダン車で唯一残ったモハ212. 1975.03.08
パンタが外された(なとさんご指摘) 垂直カルダン車モハ215

廃線間近のモハ205+モハ212+モハ215の編成. 1975.03.08

こちらは吊り掛け式モハ217の1M3T編成. 1975.03.08

末期は吊り掛け式モハ216と217の2編成が主役だった. 1975.03.08

栃尾線に入線した東洋工機製新造車で垂直カルダンドライブ装置が1975(昭50)年の廃線まで活躍したのは最古参のモハ212の1両のみであった。

この垂直カルダンドライブがメンテナンス面でいかに手こずったかは下図の構造を見ると想像できる。カルダンドライブのバネ下荷重低減のメリットよりもメンテナンス上のデメリットばかりだったのでしょう。
幅狭の軽便台車に平行カルダンでは収まらないモータを縦置きにして無理やり垂直カルダンとしたようで、なぜカルダンドライブに拘ったのか?  軽便の速度であればシンプルに吊り掛け式で十分であったのでは。

まだギヤ精度も十分でなかった時代に、パワートレインにこれだけギヤを配置すれば、ギヤ騒音(唸り音)もかなりあったのでは? 神鋼電機がチャレンジした垂直カルダンの実用化は次々と消えて行き1975年の栃尾を最後に途絶えてしまった。

図は三重交通志摩線 5401号のもの

この解説図は同志社大学鉄研OB会「デジタル青信号」に掲載されたもので、投稿者の沖中様に借用許可をいただきました。図の提供は堀幸夫様で原本は神鋼電機のパンフレットだそうです。


参考 「消えた轍」ローカル私鉄廃線跡探訪3 寺田裕一著 ネコ・パブリッシング発行

8 件のコメント:

宵闇 さんのコメント...

今年は栃尾線廃止から40年ですね。

垂直カルダンの音、とあるサイトで栃尾線の走行音が紹介されたページがありそこで聞きました。

ちょっと小田急2200系や東急5000系(アオガエル)に似た走行音でとても静かでした。

本当に成功していれば、今頃ナローから吊り掛けがすべて淘汰されていたでしょう。

栃尾線の215は晩年クハに改造されていたようでした。
ちなみにその他のカルダン車モハ207、211は最後まで在籍していたのでしょうか?

なと。 さんのコメント...

垂直カルダンの駆動図、初めて拝見しました。
モーターを垂直に立ててギアで減速して動力を下げて伝動なのですね、さすがにインサイドギアの模型みたいにモーターは車軸より上じゃない(笑)

栃尾線のモハ212~のシリーズは松本や岳南の日車標準タイプをナローサイズにした感じで気に入ってました。

chitetsu さんのコメント...

越後交通の一連の電車はヨーロピアンテイストのスマートな電車で、趣味誌上で見て凄く魅力的でした。
見たいと思っているうちに無くなってしまい、訪問できたのは廃止二年後で線路は見えても電車は見れませんでした。
カルダンの電車が古典客車を牽引するというのも楽しいですね。

katsu さんのコメント...

宵闇さん
そうでしたか、静かでしたか。
垂直カルダンの走行音を聴いてみたいですね。サイト探してみましたが分かりませんでした。
栃尾で吊り掛けに比べ静かならカルダン採用の効果ありということに。

モハ211は部分廃線の時に廃車になり、
元草軽電車で垂直カルダンの207は廃線まで在籍していたようです。
こんな凄い電車が鉄道遺産として保存されていたらどんなに楽しいでしょうか。

katsu さんのコメント...

なとさん
この新造シリーズは1/87模型では大人気ですね。
36ゲージではごく平凡なスタイルも
軽便になると微妙に36とは各部のバランスが異なり、台車も様々で大変魅力的に感じられます。
ブドウ色時代は全く地味であった電車がツートンカラーになってその魅力を発揮したと思います。
更に伝説の垂直カルダンが組み込まれた魅力までありましたね。

katsu さんのコメント...

chitetsuさん
私はこの新型?電車を撮っている時は実はその魅力に気づかず全く無関心でした。
ところが、総括制御編成時代の1/87模型を見て俄然その魅力に気づかされました。
栃尾で元草軽の残党がいろいろ改造されて中間車に組み込まれていた
総括制御編成の時代はこの上ない模型の題材であったのですね。

この電車、旧カラーリングで古典客車を牽引するのも楽しいですね。
二つの味を楽しめる電車、模型を買っておけばよかった。

宵闇 さんのコメント...

http://niigata1116.com/train/ekk/1973/0415/tochio.html
こちらのサイトでした。

katsu さんのコメント...

宵闇さん
サイトの紹介ありがとうございました。
こちらのサイトは見ていたのですが走行音には気付きませんでした。
モハ215がモハ212と組んだ4両編成の発車音を聞いてみました。
これが垂直カルダンの音ですか。
今ではとても貴重な音源ですね。
走行音好きの世界に引き込まれそうです。