案内文章

高度成長期に突入した1960年代は、地方私鉄の廃線が次々と続いた10年間であった
「終焉の地方私鉄」を全国に追い求め、
空腹と闘った旅で撮り溜めたネガ。
そんなネガを掘り起し、地方私鉄の1960年代
回想してみました。

2025年8月13日水曜日

ある夏の日の記憶

 



朝の東和歌山駅前 1964.7.10

ある夏の日のこと。
和歌山の小鉄道を訪ねて東和歌山駅前で一泊した。駅前旅館は薄汚く、窓を開けても風が入らない部屋だったが、どこか旅館らしい趣があった。

荷物を預けて外に出た。夕食は、雑多な街角で見つけた「かやくうどん」。店構えは食堂というより、飲み屋に近い。いや駅前一帯がどこか飲み屋然とした雰囲気。

フロに入り疲れた身体をせんべい布団に休みウトウトすると、ひどい蚊に悩まされ、蚊取り線香を出してもらってようやく眠れた。

東和歌山駅前、そこはどこか雑然としていて、でも人の暮らしの匂いが濃かった。